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ISS本部様の家具 設置する家 ISS本部 お買いあげの品物 日付 品物 消費マイル 効果 旅行社への申請 住みやすさ 10/5 D-01:fvbのからくり花時計 E127リザルト 家の住み易さ+3。鳩がぽっぽ-言うたびに思わず笑ってしまう。悪漢は悪いことが出来ない。設置証明 - 33 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 35 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 37 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 39 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 41 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 43 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 45 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 47 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 49 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 51 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 53 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 55 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 57 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 59 10/25 D-04:ISS寄贈ベッド 15 家の住み易さ+2。よく眠れる。 - 61 10/25 B-02:洗濯機 10 家の住み易さ+2。 - 63 10/25 B-08:ふわふわソファー 10 家の住み易さ+2。 - 65 10/25 B-11:床暖房 10 家の住み易さ+2。 - 67 10/25 B-05:コタツ 10 家の住み易さ+2。 - 69 10/25 B-07:テレビ 10 家の住み易さ+2。 - 71 10/25 B-03:掃除機 10 掃除しやすくなる - 71 10/25 C-02:中華鍋 5 料理に目覚めやすくなる - 71 10/25 A-10:ノートパソコン 30 知識判定に修正。住み易さ+2 - 73 10/25 A-01:冷蔵庫 30 食費が安くなる。住み易さ+2 - 75 10/25 A-12:システムキッチン 40 料理の判定に修正。住み易さ+2 - 77 10/25 D-02:司令室備品 60 ISS内、各国の情報を把握できる。 - 77 10/25 D-03:ISSシステムバス 30 疲れが取れる。住み易さ+2 - 79 10/25 10%割引 -45 ISSへのお礼企画 - 79 備考: ISS寄贈ベッドからISSシステムバスまでで、定価465マイル。10%割引の効果で、募金額に合わせて420マイル。 設置場所 D-01:fvbのからくり花時計 【備考】 アポロ・M・シバムラ@玄霧藩国さまからの寄贈 D-04:ISS寄贈ベッド*14個 個室。寝室。 これ以外の家具は、これから設置場所を決定。
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第一回戦【洋館】SSその3 由一らが戦う古びた洋館は、想像以上に広大だ。 面積の単位は平方キロメートルで表すのではないかと思われるほど。 個々の部屋や廊下、中庭なども尋常ではない広さであり、遠距離武器を持つ由一が有利だ。 だからと言って、由一は油断していたわけでも、驕っていたわけでもない。 ただ圧倒的に、そして致命的なまでに人生経験が足りなかった。喧嘩慣れしている程度の小学生が、本気で自分を殺しにかかって来る者の恐ろしさなど、微塵も知っているわけがないのだ。 その点で、対戦相手である相川ユキオと倉敷椋鳥の二人に、由一は既に遅れをとっていた。 「あ、あ……い、痛、ぐ、ぎぎぎ、う……」 出血している左腕の傷を抑えながら、由一は悲痛なうめき声をあげる。 「ちくしょう、くそ、くそ、くそ、こ、ろ、殺してやる」 由一はようやく理解する。試合とは名ばかりの殺しあいであると。そして同時に、由一の中に、対戦相手への明確な殺意が芽生えた。 時は遡り、試合開始直後。由一は厨房から調達した包丁三本ほどを携えて館の中を歩いていた。 無論、対戦相手に居場所が察知されないように、できるだけ足音を消している。 「くそー、試合前に下見に来ればよかったかな……」 付け焼刃程度でも、土地勘の有無は大きなアドバンテージになる。だが、由一にはそれがない。 もっとも、行き止まりであったとしても、彼の能力ならばさして弊害にはならないのだが。 「にしても……なんだってこんなことになってんだ?」 彼が見回ったいくつかの部屋や廊下にはガラスが散乱していた。というより、電球や電灯といった照明器具が破壊されていたのだ。 今現在、昼のまっただ中であり、屋敷の中が薄暗いとはいえ多少の光は差し込んでいる。全くの暗闇で何も見えない、ということはない。 しかし、すべての部屋や廊下にガラスが散乱しているわけではないということは、何者かが意図的に破壊したということであり、そしてこんなことをする理由があるのは、対戦相手ぐらいのものだ。 明かりがあっては不都合な能力であれば、それも説明はつく。 どちらにせよ、用心に越したことはない。 由一は慎重に歩を進める。廊下の曲がり角で一旦足を止め、曲がり角の先、そして自分が通ってきた道に誰も居ないことを確認する。 再び廊下を歩き始める由一。念のためもう一度、と後ろを振り向く。 その視線の先には、槍を持って迫る相川ユキオの姿があった。 相川ユキオの姿が視認されたことは、彼にとって大きな誤算だったかもしれない。 由一が通りすぎようとした曲がり角で、自身の「壁」を使ってユキオは姿を隠していた。影の中、影で隠れていた。 そのために彼は屋敷中の灯りを破壊しようとしていた。ノートン卿の「そもそもここは電気が通っているのか?」という発言によって、途中で止めた。 城塞としての壁であれば、こちらの姿は見えない。無色透明な城塞など、存在しないからだ。 由一が通り過ぎた後、「壁」を解除して「槍」を生成した。心臓を貫けば即死、致命傷を与えるだけでも十分だった。 しかし、偶然にも由一が気づいてしまったせいで、槍は左腕を貫いた程度に収まり、致命傷は与えられなかった。 ユキオが追撃を加えようとする前に、由一はユキオから距離をとった。 そして、能力で作った銃を連射しながら逃げてゆく。 弾除けとしての壁を生成しながら、ノートン卿はユキオを叱咤する。 『失敗したではないか』 「ノートン卿が許可出したんですよ。俺は頭が良くないから判断を仰いだのに」 『自分の無能を責任転嫁するな』 「じゃあノートン卿も考えてくださいよ。どうします?」 『ここは撤退しろ。射程勝負では分が悪い。無理に深追いをする必要はない』 了解、と一言添えてその場からユキオは立ち去った。 由一は自らの呼吸を整えるため、そして落ち着くため深呼吸をする。 神経が切れていないためか、左腕を動かすぶんに問題はない。 そして、彼は『銃』を連射するべきでなかったと後悔する。あれは射出速度が速ければ音も大きくなる。そして、音は自らの居場所を教えているようなものだ。 取り乱していたとはいえ、これは失策だった。追って来なかったのは不幸中の幸いだが、もう一人の対戦相手である倉敷椋鳥に居場所を悟られた可能性がある。 無論、それが考え過ぎであればいいのだが。 「考えても埒が明かないな。とりあえず、階を移動するか……」 由一は自らの身体にむけて『銃』を使う。スーっと上に移動し、天井をすり抜ける。すり抜けた先に誰もいないことを確認すると、そのまま上階へと這い出る。どうやら小部屋に出たらしい。 服の一部を裂き左腕に強く巻きつける。申し訳程度の止血処理だが、やらないよりはマシである。 由一は考える。残り一人がどこにいるかわからない。そんな状況で動くほうがいいのか。それとも待機するほうがいいのか。動けばまた先程のように待ち伏せされる。出て行かなければ勝てない。 迷っている最中、それを差し止めるかのように壁が破壊された。 現れたのは大量のモヒカンザコ。モヒカンザコ軍団は雄叫びをあげた。 「ヒャッハー! 食料と水をよこせー!」 倉敷椋鳥は三階の書斎に籠城している。主な理由として「ゲートに入れる物の運搬が楽」「容易に複数個調達できる」という点から、本が大量にある書斎を選択したのだ。 ゲートに本を入れるたびに、モヒカンザコが出てくるので自分の精神状態が心配になったが、ともかく召喚物には困らない。 書斎には彼自身想定していなかった利点があった。書斎は本の日焼けを防ぐため、窓が設置されていない。それはすなわち、「基本的に扉以外からは侵入できない」ということだ。 無論、本は有限だが、部屋いっぱいに敷き詰められた本が尽きる頃には、召喚したモヒカンザコが対戦相手を倒しているだろう。相手がどれほど強かろうが、人海戦術には敵わない。 勝つために手段は選ばない。確実に勝ちを拾いに行く。椋鳥はそう決めている。 モヒカンザコが由一のいる部屋に来たのは偶然だ。ただ虱潰しに荒らしまわっているだけであり、たまたまそこに由一がいたというだけの話だ。 とはいえ、屋敷を荒らしまわっているため、由一がどこに逃げようと、いずれは来ることになっていただろう。 由一はすぐに立ち上がり、『銃』を使う。文字通り厚みがないペラペラのモヒカンザコは、倉敷椋鳥の能力で作られたものだ。 冷静に、しかし確実に素早くモヒカンザコたちを狙撃した。彼の射撃技術からすれば、このモヒカンザコ軍団はただのでかい的だ。 由一は普段狙撃した場合、相手を地面方向に沈めるようにしているが、あいにく床下は二階である。すぐには殺せない。 だから逆に、上空へと移動させる。モヒカンザコの質量は元の物体に依存するため、かなり早く移動させることができた。 「くそっ、何だこいつら!? どんどん増えやがる……!」 モヒカンザコは次から次へと現れる。何十発も『銃』を連射しているのだ。その音のせいで居場所がバレたのだろう。このままでは、どれだけ対応しても埒が明かない。 そこで、由一は自らに向けて『銃』を使う。ゆっくりとした速度で上昇していく。 「あばよ!」 由一は捨て台詞を吐く。モヒカンザコの一人に足を掴まれそうになったが、エアガンを使って目を撃ちぬいて撃退した。 一方、相川ユキオは倉敷椋鳥の居場所を探すため、屋敷の外に出ていた。 「部屋や廊下が壁で区切られた館内よりも、辺りを見通せる外を先に探した方が良い」というノートン卿の提案により、主庭を探索した後、中庭を探索している。 しかし、一向に倉敷椋鳥は見つからない。 「これだけ探してもいないなら、外にはいないんじゃないんですかね」 『どうやらそのようだな』 諦めて館の中に戻ろうとするユキオ。しかし、上空からの風切り音を聞き逃さない。何かが落ちてくるという事を察して、頭部を腕で防御しつつ後ずさる。 地面に落下したそれは、小説の文庫本だった。 「なんだあれ……?」 『気をつけろ、罠かもしれんぞ』 恐る恐る手にとったが、何の変哲もない小説だった。中身を見ても、やはりただの小説だった。 「なんで小説が空から落ちてきたんだ?」 『それを今考えている』 直後、一冊、二冊と本が落ちてくる。それらもやはり、ただの変哲のない本だ。 ノートン卿も相川ユキオも、仮説を打ち立てた。 「本が落ちてくるってことは、どこかから本が無くなってる、ってことですよね、たぶん」 『おそらく、この本をもとに倉敷椋鳥が何かを召喚したのだろう。それで、何らかの理由で能力が解除されたというわけだ』 「空から降ってきた理由はわかりませんが……とりあえず、本の有りそうなところといえば……」 『書斎か』 「ですね」 『確か三階にあるはずだ。わかるか?』 「バカにしないでください。すぐに行ってやりますよ」 ユキオは館の壁際に寄り、能力で『壁』を作った。高く延びていく壁に乗って、三階の窓と同じ高さまで到達する。 そして『槍』をつくり、窓を割って侵入した。 部屋の中はものの見事に荒らされており、二、三人のモヒカンザコが徘徊していた。 襲いかかってきたモヒカンザコを槍で一掃する。 打ちどころが悪かったらしく、モヒカンザコは失神し本に戻った。 「どうやら今度の予想は当たってたみたいですね」 『そうだな。ではさっさと書斎に行け。場所はわかるな』 「だいたい把握してます」 ユキオは部屋の外に出る。だが、廊下はモヒカンザコの軍団がウヨウヨしている。いくらモヒカンザコといえど、この数を相手にしていてはきりがない。 「いったい何体いやがるんだ、こりゃ」 『馬を使え。いちいち相手にしていてはお前とて勝てないだろう』 「そうなるだろうと思ってましたよ……」 影から『馬』を召喚すると、それに跨りモヒカンザコの中を駆け抜ける。 文字通り「蹴散らす」のも悪くないなと思いつつ、書斎を目指して征く。 三階の上は階がなく、由一は屋根に座っていた。 モヒカンザコもこれなら追ってこれないだろうと思いつつ、屋根の上をウロウロしていると、二、三冊の本が落下してきた。 その本を手にとって見るも、どうやら代わり映えしない普通の本だった。どういうことだ、と思考を巡らす。 だが、次から次へと本が落ちてくる。それも上空からだ。 頭部を守りつつ、由一はひとつの結論に達した。 「倉敷は本を使って召喚していた、ということか!」 それに気付いた由一は、書斎探しを始める。彼は屋敷の間取りを知らないため、一つ一つの部屋を確認するしか方法がないのだ。 だからといって、モヒカンザコのいる三階に戻る訳にはいかない。 由一は自分を『銃』で撃った後、屋敷に潜り部屋の中を覗いて確認する、というやり方で確認していった。 虱潰しで確認していくしか無いが、これが一番安全だ、と判断した。 「ヒャッハー! 敵だー!」 書斎前の廊下で、モヒカンザコが叫ぶ。それを聞いた倉敷椋鳥は、敵の接近を知った。 どうやら、書斎に籠城していることがバレたらしい。 「居場所を突き止められたか。だが、この程度で勝った気になるのはまだ早いぞ」 入り口からわずかだけ外を見る。そこには、モヒカンザコ軍団とそれを蹴散らす相川ユキオの姿があった。 そして、同時に両者の目が合う。 「見つけた!」 ユキオは馬から飛び降りると、モヒカンザコを踏み台に次から次へと飛び移り、倉敷椋鳥へと近寄った。 そのまま一気に槍を突き刺―――す前に、一発の銃声。 「あえて姿を見せた、ということに気づかなかったみたいだな」 倉敷椋鳥の右手には、拳銃が握られていた。 移動中の由一にも、その銃声は聞こえていた。 すぐ近く、否、すぐ下から聞こえてきたということは、何者かがこの下で戦っている、ということだ。 覗き見てみると、拳銃を持った倉敷椋鳥と、倒れた相川ユキオ、そして相川ユキオを袋叩きにしているモヒカンザコがいた。 モヒカンザコに袋叩きにされている相川ユキオは、腹に銃弾を食らっている。ヘタしたら致命傷になりかねない。 モヒカンザコ軍団を払いのけるユキオ。このモヒカンザコは本と同じ質量なので、本を払いのけるのと同レベルの力で簡単に払いのけられる。 だが、モヒカンザコは続々と湧いてくる。倉敷椋鳥が再び召喚を始めたのだ。 満身創痍の状態で、湧いてくるモヒカンザコ。そのうち体力が果ててしまうかもしれない。 だが、書斎の中から椋鳥のうめき声が聞こえると、しばらくしてモヒカンザコがすべて本に戻った。 由一はこれをチャンスだと思った。 ここで倉敷椋鳥を始末出来れば、確実に勝てる、と。そこで、由一は賭けに出た。 倉敷椋鳥が書斎に入っていったところまでは由一も確認している。何のためか? 無論、再び召喚を行うためだ。 では、どうすれば確実に倒せるか。倉敷椋鳥は常に動いている。 だが、あるときだけ止まっている。それは、召喚するときだ。 モヒカンザコを召喚する瞬間を狙って、彼は『銃』で撃った包丁を真下に突き落とした。 そして、椋鳥の脳天に包丁が刺さったことを確認し、追撃として、背中を包丁で刺したのだ。 そして、倉敷椋鳥は死亡した。 その後、由一は倉敷椋鳥から拳銃を奪い、満身創痍のユキオに対し降伏を促した。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
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第一回戦【雪山】SSその3 夜。真っ白である。眼下の絶景も山も空も四葉のオムツも。 オムツ? まだおしっこ少女(おねしょうじょ)なのだろうか? まさか。 200Kを下回る世界で下半身を露出し体内の体温安定剤(おしっこ)を放出する必要はない。 五重の防寒具を着たまま股に力を入れたり抜いたりして四葉がぶるぶるっと震えると暖かい小便が下腹部に広がりほのかな母体回帰願望を思い起させる。じゅわじゅわ滴る前に手早く取り替えて外に出す頃には既に凍りつく。 まさに極寒の雪山そのものだ。全体像はGoogleMAPで確認したが無意味すぎた。佐倉光素を信用すれば雪山の(戦闘範囲内の)中腹な筈だ。 パキパキに凍ったオムツを洞窟の隅にほうって入口に近づく。雪のカーテンの合間合間にちらつく「黒点」に向かって念じる。 「モア」「モア」「モア」 何も反応しないことを見て四葉はホッと溜息をつく。口腔に侵入する空気が痛い。 ――寒いな。この自然め。私を殺す気か。 四葉は指を振り念じる。 「モア」 パッと空中に生み出された白い塊は濃霧を生み出しながら落下する。 目線を落として塊を観察する。どうやらこの極寒の地で蒸発しているようだ。 「すごく冷たいものかや?」 雪に対して「炎」が得られるわけではない。 自然が「雪」という「寒さ」を武器にしているのならより強いより冷たい武器を得るだけだ。 極寒の雪山でさえ瞬時に昇華するような個体――固形窒素が召喚された。 「これをぶつければダメージ与えられるか?」 という考えは刹那で忘れた。 相手も防寒しているだろうし窒素ならば持って投げれないだろう。 四葉が理解している「すごく冷たいもの」は液体窒素(-196℃)。かつてTVで見た「薔薇がバラバラに砕けるシーン」が想起された。全く触れる気になれない。 何かでつまんで投げられれば……四葉は思い出した。 殺すべき敵の一人・聖槍院九鈴(せいそういんくりん)の奇天烈な武器を。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 聖槍院は雪山頂点から高速移動で駆ける――滑る。 巨大トングの下刃をソリ代わりにしている。見事な体捌きだ(しかし48のトングで1024つのトングを自在に同時に操れる究極体トンゲリスト(トング・ジツ・マスター)と比べれば未熟だ)。 目指すは小さな洞穴。 人が一人隠れられる程度の――人影がちらついてみえたそこ。 上刃は屋根がわりにして滑走する。雪は当たらないが風がひどく冷たいだろう。 しかし加速する聖槍院は平静である。なぜか? 彼女の魔人能力〈タフグリップ〉はつまんだものを決して離さない。 それは「掴んだものが失われない」と同義である。挟まれた空気も。聖槍院も。 故に麓(ふもと)の空気を捉えた巨大トングの刃間は絶対に暖かいのだ。 ぐんぐんと洞窟が近づく。速度は加速の一途。トング滑走術は音速を超えうる。 マッハ0.8で目前に洞窟が。音と並走する聖槍院。 轟音におびき寄せられ洞窟から人が。 止まる気も死ぬ気もさらさらない。 ――死ね。 聖槍院は自身の体ごと洞窟にぶつけた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 発生して近づく音を赤羽ハルは雪崩かと思った。 だが洞窟を破壊し尽くして眼前に現れたのは巨大な銀(トング)。 トングの殻から聖槍院が出現。ダメージ0。真っ黒なトングを構えている。 トングの刃部に両手で添える「鰐の構え」だ。 赤羽はひしゃげた巨大トングと合わせて空飛ぶ円盤(UFO)を思い起こした。 数々の修羅場をくぐり抜けた赤羽でさえ反応が1秒ほど停止。 「死ね」 言葉が打出るのと前後してトングのバネを8倍活用した打撃を放つ。 殺人鬼には1秒あれば十分である。みぞおちと頸にめり込む拳。 呻く赤羽。さらにトングで挟み込み両肩を固定(タフグリップ)。 聖槍院の奇襲&不意打ちは見事命中した。 聖槍院は即殺のつもりだったがどうしてなかなかしぶとい。 ――しぶとさの理由は赤羽ハルが「日本銀行拳」の使い手だったことだ。 赤羽は腹部と頸部に受けた衝撃をストップ高としてこらえた。 株価と肉体のダメージは全身を覆う「紙幣帷子」に流す。 暴落した「呑気(情)」が上場廃止し「殺意(激おこ)」が上向きになる。 この市場混乱により約1億個の細胞(パンピー)が負債を被ったが脳細胞(トレーダー)は「殺意(激おこ)」を大量購入している――。 飛び蹴りし反動で距離を取ろうとする聖槍院。 赤羽は胸をクロスし聖槍院の蹴りを防御する。 そのかたちで肩のトングを掴む。力で離そうとするなら無駄だったろう。 赤羽は真っ黒のトングを能力〈ミダス最後配当〉により換金した。 ――硬貨に換金し即撃ち込む。 そしてトング〈カラス〉が換金された。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そう遠くない北北西から轟音を聞く。ラピュタの動力室が爆発した音だ。 四葉は雪崩の危険を察知し外へ出る。雪は降っているが風は弱まっている。 雪崩が起こっていた。異様にきらめく色付きの雪崩が上から起きていた。 「怖! 死ぬ!」 長期戦を見込んでいた四葉にはあまりにも急展開すぎた。 四葉は反射的に自らの能力〈モア〉を発動する。 雪崩に対してならより強い雪崩が生まれる。四葉が飲み込まれることはない。彼女に対して安全なのが〈モア〉の能力の一部である。 ――より強い雪崩が生まれるはず。私は安全だからすぐ洞窟に逃げなければ。 だが彼女は誤認していた。 色付きの雪崩は「雪崩」ではなく「換金」あるいは「発行」である。 より強い発行。 四葉は建物の中にいた。 召喚したものは「日本銀行」。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 聖槍院の持っていたトング〈カラス〉。 素材は隕石であり色も黒っぽいのでダークパワーが宿ってそうで強い。 闇トング道者・トング太郎Jrが有り金はたいてでも〈カラス〉を欲しがっている。彼の総資産は約1兆円。 聖槍院九鈴は1兆円の中に埋もれて死んだ。トング太郎Jrが殺したと言える。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 赤羽もまた自らが換金した硬貨の雪崩に飲み込まれている。 だが彼は硬貨(500)を次々と紙幣(10000)に換金した。 呼吸の確保には成功したが数(10000t)には勝てない。 流され飲み込まれ圧死する――しかし幸運にも流された地は日本銀行。 体中を覆っていた圧力の塊が朝露のように消えていくのを感じる。 動物めいた半回転で立ち上がる。 雪山の中に建物があるはずがない。魔人同士の戦いであるから常識は通用しない。 そもそもの自分が――と防寒具の内にあるはずの紙幣帷子が消えている。 赤羽は振り返り確認する。硬貨の雪崩は日本銀行に入った瞬間から消滅している。 原因は分からないが直感的に「生き残った対価」と考えた。ラッキー。 雪山に日本銀行とは。それにしても異常な空間だ。空調はバッチシ。暑すぎる。 防寒具を脱ぐとジャケットがゴトッと音を立てる。 「おっと。これは必要だな」 ジャケットの中からM10(ミリタリー&ポリス)を拾う。 「知ってるヤツ対策のつもりだったんだがなァ……。まさか使えないなんて。それも銀行の中なのに。俺が消費者だからか? なァ?」 奥に向かい問いかけた。返事はない。 無人の受付を乗り越えふだん入らない領域へ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 四葉が日本銀行を召喚した直後。 彼女はあらわれた日本銀行に驚いた(当然だ)。 何をすべきか――。どう勝つべきか――。 真っ先に思い浮かんだのは「対魔人用の金庫の中に閉じ込める」と「買収」。 前者に引っかかる馬鹿であればいいが実現性は低いと判断。 後者は真剣に考えた。二秒ほど。役員の一人から聞いた情報によると莫大な借金を負わされたらしい。金「だけ」であればOKだろう。が不安が残る。 どちらにしよう――二者択一で考える狭さは子供らしい。 結局「金庫閉じ込め」に。すると部屋に入った直後にロックする必要がある。 コントロール室的な所を探す前に濡れた足跡を見て衣類をすべて脱ぐ。 四葉の幼児体型そのままでも寒くはない。むしろ暑いくらいだ。 すっぱだかになって床にゴロゴロして水を吸わせたあと部屋札を見ながら小走り。 二階左にある「制御室」を発見し入る。 いかにもスイッチが「押してください」と言わんばかりだ。 どこの金庫を開閉するか――などという複雑な操作は四葉にはわからなかった。 だが勝利する方法をひらめいた。 ――完全に近い。 にやっと笑いながら銀行内の空調をあげる。室内とはいえはだかはやや寒い。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 廊下は左右に分かれておりゴーギャンの「無題」がある。 今度は紙幣で換金してみる。3200円。額縁もこみこみだ。 「偽物か」ふと気付く。「銀行の中でなら金もてるのか?」少し考える。「ふーむ」 なぜ硬貨の雪崩が銀行の中へ入らなかったのか……。 と考えて閃く。 ――入金したってこと? 物理的すぎる。赤羽は苦笑いしつつ足元の服を拾う。濡れており小さすぎる。 お人形の服みたいだ。値段は82000円。高い。4000円。4200円。1480円。7980円。 「最近の小学生はリッチだなあ。ブルセラに売ったらの値段か?」 などと思いながらがら右へ。 「6000億刷れないもんかね」 などと呟きながらドアを一つひとつ開けて見回る。 窓の外は雪だ。雪山であることをしばし忘れていた。 半分ほど見回って面倒になり地下へ向う。 地下は分厚くて扉数が少ない。 どれにも手を触れず六感覚(シックスのセンス)だけを研ぎ澄ませる。音はない。 「印刷っぽいのはなさそうだの。銀行でやるんじゃあないんだ?」 疑問形で聞いても返答はない。わずかに空調が部屋を温める音がするだけだ。 「ここじゃあないのか?」 と呟いた瞬間――日本銀行は消滅した。 パッと。 夢幻(ゆめまぼろし)のごとく。パッ。 もとの雪山。赤羽は長袖一枚だ。防寒具は雪の下に。 「しまった。凍死(そっち)が狙いか」 方角を思い浮かべて駆ける。服はあったが人の影をしていた。 「人の服きてんじゃねえよ。サイズ合ってねーぜ」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 武器を簡単に生成するなら逆もまたしかり。 四葉は逃げ出すつもりであったが服がだぼだぼで動きにくい。 それに靴がない。自分の靴を履くつもりであったが廊下にないのは誤算だった。 ――ここで殺すか? 防寒の点ではこちらに分がある。時間で勝負だ。 選択(にげ)の余地はない。もう赤羽の影が見えたのだ。 「モア」 四葉の手の中に一万円札が現れた。 ――やはりお金関係のヤツか。 両掌を赤羽に向ける。一万円札がヒラっと舞い落ちる。 「モアモアモア……」 硬直時間ゼロ秒で一万円札を生産し続ける。 理論的には0秒で無限枚作ることも可能だが10枚/s程度に抑える。 赤羽はゆったり歩く。四葉の行為を見て一言。 「最近の子はブルジョワだね。そもそもさあジャケット高くなかった?」 「確かにねー」 「お兄さんがおこづかいをあげよう」 指弾で500円玉が連射される。日本銀行拳は恐ろしい。時速約500km。 だが金はどこまで言っても金である。 四葉は10000枚/sで一万円札の壁を作る。 500円が10000円に勝てるはずもなく弾かれる。 「最近の子はブルジョワだねー」 「確かにねー」 「お兄さんがお年玉をあげよう」 「そんな季節じゃなあないよ。雪は降ってるけどさ」 赤羽は演技めいて屈み一万円札をひろう。 その赤羽の頭に、四葉が、P228(M11)をぶっ放す。 赤羽がかがんだ瞬間――〈モア〉が札→銃の瞬間に四葉は撃鉄を起こしていた(コッキング)。 三点でバンバンバン。一発目で見事脳天を捉え赤羽は大恐慌に陥った。 ――さて。 と息をつく。するとどこからか声が聞こえる。 「パンパカパーン!(喜びの表現その1) 高島平(タカシマダイラ)四葉(ヨツバ)様(さま)の勝利が確定しました(おめでとうございます)!」 「いえーい」 無邪気あるいは邪気に満ちガッツポーズをする四葉。 ストン。とだぶだぶのズボンがずれ落ちた。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
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2009/07/18 SFCスーパードンキーコング 安価条件 レベル1をディディーのみでクリア 実況時間15分 クリア 安価人さん生存 このゲームは小学生位のときに友達に借りて1度だけ完全クリアしたことがあるゲームです。 ただ、私はアクションは基本好きですがこのシリーズは苦手なので 正直レベル1クリアだけだったのは嬉しかったです^^ 画面の動きが速いので、なんか操作しづらい気がするんですよね。 2面で何度も死んだりしてちょっとドキドキしましたが、 結局ノーコンであっさりクリアできたのでよかったです。 レベル1のみで15分はかかりすぎかもしれませんが。 縛りがノーミスクリアとか完全クリアとかじゃなくて良かった。 名前 コメント すべてのコメントを見る てst -- (名無しさん) 2009-07-20 07 03 53
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パイロットウイングス 【ぱいろっとういんぐす】 ジャンル フライトシミュレータ 対応機種 スーパーファミコン メディア 4MbitROMカートリッジ 発売・開発元 任天堂 発売日 1990年12月21日 定価 8,000円(税別) プレイ人数 1人 レーティング VC版 CERO B(12歳以上対象) 配信 【Wii】2010年4月6日/800Wiiポイント(税5%込)【WiiU】2013年5月29日/800円(税5%込)【New3DS】2016年4月6日/823円(税8%込) 判定 良作 概要 ゲームの流れ スカイスポーツ 評価点 演出(操作感・グラフィック・BGM) 問題点 総評 余談 フライトクラブ 入会案内 あなたも今すぐ鳥になって大空高く舞ってみませんか。 当クラブでは、各種スカイスポーツを用意して、お待ちしております。 まずは当クラブで、ライセンスをとってから‥‥。 概要 スーパーファミコン(SFC)発売から間も無くして、宮本茂と横井軍平をプロデューサーとして任天堂から発売された「準ローンチタイトル」とでも言うべきゲームソフト。任天堂のSFC第3作でもある。 ローンチタイトルの『スーパーマリオワールド』や同日発売の『グラディウスIII』などの陰に隠れ、本作自体も大人・マニア向けの落ち着いた、つまりは地味な雰囲気が漂う作品であったため、売上は当初の予想を下回ってしまった、ややマイナーな印象が拭えないゲームではある。だが、その実態はSFCに搭載された回転・拡大・縮小機能をフル活用し、説得力が非常に高い3D空間描写を当時最高クラスのグラフィックで実現させた良作フライトシミュレータである。 フライトシム部分の完成度もさることながら、「フライトクラブ=飛行教習所の体裁」の元、徹底して「空を楽しむ」雰囲気を前面に押し出した作風、近藤浩治と岡素世の手による質の高いBGM、愛嬌のある教官達を始めとしたギャグ演出、終盤で唐突に始まる予想外の展開など、随所に見るべきところの多い作品。 ゲームの流れ プレイヤーは「フライトクラブ」なる教習所(?)に入会し、4箇所のフライトエリアにおいて4種類のスカイスポーツの訓練を行っていく。ちなみに本作の説明書は、全編がこの「フライトクラブ」の紹介パンフレット・あるいは教習計画書といった体裁をとっており、作品世界への没入感を深めている。 フライトエリア1 純朴そうな青年教官・田中文也の元、ライトプレーンとスカイダイビングの基礎を学ぶ。人あたりがよさそうで、実際当りさわりのないごく普通の反応しかしない田中教官だが、スカイダイビングでパラシュートを開かずに地上に激突すると「わざとやってませんか」と渋い顔で毒舌を吐く面もある。 フライトエリア2 紅一点・白石蘭が担当。ロケットベルトの講習が追加される。大きな2本の滑走路が特徴。なかなかの美人である白石教官だが、100点をとった時の目が点になる表情は非常にかわいい。 フライトエリア3 島全体がリゾート施設の様な訓練場となっているエリア。スカイダイビングの代わりにハンググライダーが課題となる。金髪白人のインディ・スコット教官はカタコトの日本語で常に励ましてくれるやさしいお方。100点をとると目をぐるぐる回す。 フライトエリア4 工業地の様な人工島が舞台となり、4種類全てのスポーツを行う事になる。最後を締めくくるだけあって難易度はかなり高い。サングラスの強面・黒田藤兵衛教官はめったに笑顔を見せないが、100点をとるとつぶらな瞳をあらわにして泣きに泣く。 ここまではごく普通の「フライトクラブ」の訓練が行われるが、エリア4をクリアすると本作最大のネタ要素と、「フライトクラブ」の正体の一端がその姿を表わす。 + 極秘指令 極秘指令 エリアクリア直後、淡い背景色に各スポーツのシルエットが描かれた落ち着いたエリア紹介のインサートではなく、真っ赤な画面に攻撃用ヘリコプターが描かれているインサートと共に、サングラスを外した黒田が現れる。彼によると、黒田以外の教官三名が「イラフ島」なる孤島へのフライト中に、この島にアジトを持っており軍も手を焼いているほどの麻薬シンジケートに捕えられてしまった。現在は仲間の手引きにより脱出しヘリポートで救助を待っているので、敵地に単身ヘリで突入し、教官達を救出してくれという。 当然ヘリの講習など受けていないのだが、ここで行くのを拒んだ場合、黒田から「お前はそれでも空の男か!」「麻薬シンジケートの奴らなど怖くはないだろう!」と怒鳴られる。空の男だろうがなんだろうが、平和な教習所から突然危険なミッションに放り込まれて怖いと思わないほうが異常である。 プレイヤーの混乱と疑問に応えるように何度も拒否することで「お前が行け」なる選択肢も出現するが、もちろんこれを選んでも拒否できない。何故黒田自身が行かないのかというと、彼は単車の免許しか持っていないからだそうである。お前はそれでも教官かと言いたくもなるが、結局どうあっても主人公が行くことになる。 このコミカルなやりとりのおかげかどうかは不明だが、『大乱闘スマッシュブラザーズX』において黒田教官は任天堂作品のシールの絵柄の一つに選ばれている。 ちなみにヘリの存在と操作方法に関しては説明書の最後の方でさらりと触れられており、注意書きとして「なお、本校では某ルートより入手した攻撃用ヘリコプターを使用して講習を行います(入手ルートは非公開とさせていただきます)。」という文章も添えられている。 そして、説明書に記載されている教官からの一言で、唯一の黒田からの一言。 「死ぬなよ!」 この極秘指令をクリアすると、特別殊勲者として「パイロットウイングス(ウイングマーク)」が授与され、ゲームに一区切りがつく。 極秘指令後は、さわやかな青い空と海を描いていたタイトル画面が夕焼けの町を見下ろす構図となり、2周目とでもいうべき「EXPERT」が開始される。 EXPERT 高難度化した1周目のエリアを順々にたどっていく。エリア数は5から始まる。 初っ端のエリア5では強風に加え、滑走路に雪が溜まっている(除雪しろよ!)という悪条件下での訓練が行われる。その後もエリア6は大雨、エリア7は超強風、エリア8は夜間と、どのエリアもビジュアル的には楽しいが「乗るとクラッシュする雪が積もった滑走路に着陸」「地上数フィートの超低空飛行(*1)」「風速6m/sの中リングを縦方向にくぐる」など、かなり難易度が高い。 難易度が高いとはいえ、クリアが極めて困難ということはない。エリア1~4で基礎をしっかり身につけていれば必ず突破できる。 + 極秘指令2 エンディング 極秘指令2 エリア8クリア後は例によって2回目のヘリコプターミッションが始まる。 今回は「わかっていると思うが、何も聞かずに行ってくれるかね?(要約)」といった感じで事前の状況の説明すらない。承諾したところで初めて、今回は政府の要人である黒田の兄が前回と同じ組織に拉致されたという経緯が申し訳程度に説明される。 夜間の出撃となり、ヘリのサーチライト以外に頼りになる明かりがない。敵砲台や目的地ヘリポートなどの要所は光っているので問題は無い…が、目的地周辺に砲台が2倍近く増量されている。限界まで高度を上げている場合、全て破壊するまでは決して安心できない。 これをクリアすると最高殊勲者として「トップパイロットウイングス」(金のウイングマーク)が授与され、エンディングとなる。エンディングでは主人公の授賞式が描かれるのだが、田中・白石・スコットの教官3名を始めとした参列者は皆軍服姿。勇壮なマーチの中、主人公はやはり軍服に身を包んだ黒田教官の元へ歩み寄り敬礼、そのまま画面がブラックアウトし「完」となる。 …結局のところ、「フライトクラブ」とは教習所に見せかけた軍事養成施設だったのだろうか? そう勘繰らずにはいられないようなエンディングである。あまりにも予想外な結末に当時衝撃を受けたプレイヤーは多い。冒頭の「フライトクラブ 入会案内」の文面も、クリアした後に見るとなんとも意味深である。 この一連のイベントのせいか、後のバーチャルコンソール等ではコンテンツアイコン:麻薬等薬物が付与され、CEROレーティングB判定(12歳以上対象)となった。 スカイスポーツ 試験の点数はリングやバーをくぐった数、滞空時間、着地精度が合算されて算出される。各スポーツごとに最大100点で、これがエリアごとの規定点数を上回ると合格となり、次のエリアに進む。例えば合格ノルマ120点の場合、スカイダイビングでムーブターゲットに着地+20点以上のボーナスをとればその時点で合格となり、他のスポーツはキャンセルされる。 ライトプレーン 全てのエリアで必修となっているレシプロ複葉機。最初は一直線に着陸するだけだが、後発のエリアでは複雑な配置のガイドリングをくぐり抜けていくなど、どんどん複雑化していく。エンジン音とテンポのいい音楽が耳に残る。 慣性と揚力(失速)が表現されており、正確な飛行コースをとるのは一苦労。また、このゲームでは航空施設以外の地上(大地・雪原)は単一色のテクスチャしかかけられていないため、急降下するときには高度計をよく見ないとあっさり墜落するなど、満点をとるのがもっとも難しいスポーツ。 風の影響を最も受ける競技で、レーダー上の風向きに注意していないとすぐに流されてしまう。特に後半は真っ直ぐ飛行することすら難しく、前述のように元々の操作の難しさに相まって一層点数が取りにくくなっている。 スカイダイビング 規定高度から降下し、空中に表示されるリングをくぐってパラシュートを展開、地上ターゲットへ着地する。ただ落ちるのではなく、姿勢制御による落下速度・軌道変化やフレアーが表現されている。リアルな風切り音と相まって、落下感の表現が素晴らしい。 パラシュートを開かずに落下すると、地面にまるで穴が開いたかのような人型のシルエットが情けない効果音と共に表示されるシュールな演出も特徴。 ロケットベルト ロケットエンジンと燃料タンクをバックパックにまとめた個人用飛行装置(*2)。高出力の強噴射と低出力の弱噴射を使い分けてリングとポールにタッチしていく。風と慣性の影響を受けやすい。 本作に登場するスカイスポーツの中でも隋一の自由度を持り、存分に空中浮遊を楽しむことが出来る。特にエリア2に大量に存在する、ふんづけると大ジャンプする謎の白い物体(*3)の爽快感にとりつかれ、これを潰しまくった人は多いのではないだろうか。 規定達成前の着地・ターゲット以外の場所への着地は減点されるが、このときぽりぽり頭をかく主人公が愛らしい。高高度から制動なしに落下するとベルトが爆発して黒こげになった主人公を拝むことが出来る。 ハンググライダー 上昇気流に乗り、規定高度まで達するかリングをくぐった後にハング用ターゲットへ着陸。 ゆったりとした操作感と優雅な音楽がとてもよく合っているが、他のスポーツと比べ制約が多く、コツをつかむまでは難しい。いかに最適なパターンを作るかポイント。着地に失敗すると主人公はひっくり返って足をバタバタさせる。 操作の難易度が高いためか、採点は甘め。ターゲットエリア外に着地してもよほど時間をかけない限り60点がもらえる上、ターゲットの枠内に入るだけで80点、中央サークルに少しでも入れば90点である。そのため慣れれば安定して高得点を狙いやすい競技といえる。 スカイダイビングとロケットベルトには通常の地上ターゲットとは別に、プールや海上を移動するムーブターゲットが設けられている。非常に難しいが、ここへの着地を成功させると無条件で満点である100点を獲得できるうえユニークなボーナスステージをプレイでき、100点以上の点数を狙う事が出来る。 (ハンググライダーの場合はムーブターゲットが存在しないが、通常のハング用ターゲットではなくスカイダイビングやロケットベルト用の海上ターゲットに着地すれば同様のボーナスが得られる) ダイブ スカイダイビングのボーナス。プレイヤーが何故かペンギンの着ぐるみを着込み、眼下のプールへダイブする。1000ft(304.8m)もあるので、東京タワーの上から飛び込むのと同じことをしている。 大ジャンプ ロケットベルトのボーナス。ピョンピョン飛び跳ねながら恐ろしい高さまでジャンプできるトランポリンを乗り継ぎ、最後の海上ターゲットへダイブする。 鳥人間 ハンググライダーのボーナス。プレイヤーが鳥の羽根の様なものを両手につけ、Aボタンの連打で飛距離を保ち、より長く飛ぶことを競う。 + そして… スカイスポーツに全て合格すると、前述の通り、入手ルート不明の攻撃用ヘリを扱った極秘指令に挑むことになる。 ヘリコプター ヘリ空母から発進して、対地ロケットで敵砲台を撃破しつつ、救出対象が待つヘリポートへ向かう。『バンゲリング ベイ』をイメージする人も多いだろう。 一撃でも被弾するとゲームオーバー。敵はこちらの位置、速度、方向を計算して正確に弾を撃ってくるため、慣れないと非常に厳しい。ヘリポート周辺の森に隠れている隠し砲台もあり、砲台のグラフィックが表示されていない所から弾が飛んでくる。目的地であるヘリポート周辺の砲台の数は相当なもので、難易度はこれまでと比べても跳ね上がっており、相当のトライ エラーが要求される。降下し始めたときにそれまで撃ってこなかった隠れ砲台が撃ってきて撃墜され、涙をのんだ人もいることだろう。 やはりヘリの挙動はなかなか現実のそれらしく、前後左右平行移動も思うがまま(操縦桿は結構重い)。ロケットの発射・着弾も小気味よく、ついつい無駄打ちしてしまう。 着陸もかなり難しい。出力を一気に下げて落下速度を速くしすぎると、着地しても墜落扱いになってしまいゲームオーバー。もちろんその場合も最初からやり直しである。出力をゆっくり下げてゆるやかに降下するしかないが、絶妙なタイミングで下げていかないと揚力が勝ってしまい、すぐにヘリが上昇を始めてしまう。その間も機体は慣性の法則によって動き続けるため、着陸位置の微調整も同時に行わなくてはならない。ヘリポートの周りの池に落ちて悔しい思いをした人もいることだろう。 被弾して制御不能になった機体が激しいきり揉み状態で墜落していく様を画面の回転で表現した墜落演出もなかなかの臨場感である。(*4) 評価点 演出(操作感・グラフィック・BGM) 飛行感・浮遊感・落下感の表現力は(当時の家庭用ゲームとしては)かなり高い。映像技術・操作感覚の両面が高水準で融合した結果である。 タイトルからして「回転しながら近づいてきて通り過ぎ、一気に中央に戻る」とSFCの新機能をアピールしまくっており、SFCのデモンストレーション用ソフトとして作られたような感もある。実際、本作の時点で既にSFCのスペックを十二分に引き出しているところが素晴らしい。 滑走路への進入一つをとっても、それまでのゲームの様に「カクカクと一段一段近づいていく」のではなく、「望遠鏡を滑らかにズームさせるかのごとく」自然に近付いていく。 空中に出現するリングやポールは立体感に溢れている。疑似3D空間の描写は非常に見事で、初見では思わず「これはポリゴンを使っているだろう」と疑ってしまうレベル。 「パースペクティブの消失点と背景の地平線を一致」させて表現された背景もかなり美しい。EXPERTタイトルやエリア7の夕陽の美しさに魅了された人も多いのではないだろうか。 操作感の面も抜かりなく、特に風で煽られる感覚は出来のいい風切り音と相まって実物の様に感じるほど。 失敗時の主人公のアクションや教官の多種多様な反応はそれ自体も十分面白いが、「どんな反応があるのか一通り見てみたい」とプレイヤーに思わせ、失敗を恐れないようにする副次的な効果がある。作品全体に漂うゆったりとした雰囲気と合わせ、のびのびとプレイできる。 一方で雰囲気ががらりと変わる極秘指令も、硬派なミリタリーものとしてはなかなかのもの。超展開だがあまり気にはならないのが不思議である。 『スーパーマリオブラザーズ』の近藤浩治、『スーパーマリオカート』『シムシティー』の岡素世の両名が作曲したBGMも名曲揃い。内蔵音源を存分に生かしている。 効果音もかなり出来が良い。ちなみに一部の効果音は『F-ZERO』と『スーパーマリオワールド』から流用されている。 問題点 フライトシム部分の完成度は高いと前述したが、あくまで発売当時の時点での評価であり、技術的な制約はやはり存在する。 ライトプレーンはロール・宙返り不可。ラダー(方向舵)の操作が存在しないためヨー(横滑り)は出来ず、着陸時の微調整がやり辛い。 前述の通り、地表のエフェクトから高低差を読み取るのは困難。視点切り替えが出来るダイブ・ロケット・ハングは気にならないが、ライトプレーンでは高度計が文字通り生命線となる(もっとも、これはこれでリアルではある)。 ただし、極秘指令ステージの地表エフェクトはかなり力が入ったものになっている。 バッテリーバックアップはなく、パスワード方式を採用している。 ちなみに各フライトエリア・極秘指令のパスワードは全て固定されているため、番号さえ知っていればどのエリアも最初から自由にプレイできる(ただし、極秘指令前のイベントは見られない)。 点数判定のうち、着地精度に関しては結構適当なところがある。着地位置のみを見ているため、「失敗にならないギリギリの高度」から、たとえ主人公の下半身が粉砕しそうな急降下着地を行っても、着地位置さえよければ高得点が取れる。 鈍い「ボゴォッ」という効果音の後、ひっくり返って震えるだけですむ主人公も主人公である……。 ボーナスステージの説明がない。 説明書にも、ゲーム中にも一切の説明がないので、試行錯誤しながら操作法を覚えるしかない。ボーナスに行く事自体が相当困難なのに…。 頑張ってボーナスステージに入ったのに、どの教官からも「ラッキーだったな」などと単に運が良いだけのように言われてしまう。 総評 フライトシム自体は業務用として(ここでいう「業務用」とはアーケードゲームよりも、各航空会社で使用している訓練機を指す)大型のマシンがあったが、ゲームセンターでもそれほど見ることはなく、そもそもそれ以前に、主にマシンスペックの問題から後の『グランツーリスモ』の様な「リアル系」のゲームはかなりの少数派だった。 この『パイロットウイングス』は、ある意味では家庭用ゲーム機における「リアル系シミュレータ」というゲームジャンルの先駆けになった作品とも呼べるかもしれない。同時に、スーパーファミコンというゲーム機の魅力をアピールする役目も存分に果たしていた。 惜しむらくは、そのゲーム性の良さが地味なプレイ画面からでは伝わりにくかったところか。 とはいえ、後にニンテンドウ64、そしてニンテンドー3DSでも続編が出たことは、本作にも確かなファンが存在することを示していると言えるだろう。 ちなみに、これらの続編はいずれもそれぞれのハード初期に出されている。任天堂にとっての『フライトクラブ』とは、ユーザーを新しいハードへ誘うための「教習所」なのかもしれない。 余談 本作のロケットベルトが『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にアイテムとして登場する。拾うとキャラクターがジェット噴射で飛べるようになる。 2019年9月6日にNintendo Switchで配信が開始された『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』では、本作が初期ソフトの一つとして収録されている。 スーパーファミコンの特長を伝える為のデモを兼ねた映像が本体発売前に展開されたが、そのいくつかがこのゲームに取り込まれている。 逆にゲームに取り込まれていない箇所も多い。パイロットウイングスとして出てくるまで紆余曲折が雑誌記事でも伝わってくる程で「迷走している」との記事まであった程。 2020年7月に起きたニンテンドーギガリークと呼ばれる任天堂作品の開発資料の流出事件の中で本作のプロトタイプ版「ドラゴンフライ」の詳細なビジュアルが30年越しに明らかとなった。 ローンチタイトルとして予定されていたが直前に突如発売が延期している。本来、当作品が担うはずのスーパーファミコンの「回転・拡大縮小」「LRボタンを用いた操作」などの新機能のお手本はF-ZEROに譲ってしまっている。 Nintendo Switchソフト『超おどる メイド イン ワリオ』のナインボルトステージで、本作がプチゲームとして登場している。